2009/07/09

終末のフール

「おい」「冗談ですよ」

終末のフール

著・伊坂幸太郎

8つのストーリーから綴る、世界の終末を前にした人々の日々。
息子と死に別れた老夫婦、妹の復讐に燃える兄弟、ボクシングジムに通う少年、などなど、彼らは世界の終わりを知り、どう生きて行くのか。

本屋で本を探していたら、この本が目に飛び込んできた。
伊坂幸太郎きたよー!
テーマは「終末に生きる人の姿」
地球に隕石が衝突し、世界の終末を迎えるという映画でやり尽くされていシチュエーションだが、世界を救うのがテーマではない。
ブルース・ウィルスが隕石に爆弾を仕込もうとしている裏で、人々の日常はどのように流れているのか。
あと3年。
世界が終わるまであと3年と宣告されたとき、人はどうやって暮らすのだろう。
湧いてくる願望を叶えようとする、快楽に浸る、悲しみに明け暮れる、犯罪に走る、信仰心に目覚める、あるいは死んでしまう、、
多くの人は考えが変わり、世界が変わり、秩序が崩れ、混沌とした世に変わるのかもしれない。
俺はどうだろう。
変わらない毎日を過ごしたいと願う一方で、変わりゆく世界の中で自分は変わらずにいられるのだろうか。
普段生きていく中で、「死」は漠然としてあるものだと思う。
「あらゆる生あるものの目指すところは死である」とフロイトは言ったそうだ。
死は生の対極にあるのではなく、その一部にあるのだと三島由紀夫は「金閣寺」で言っていたと覚えている。
これらの言葉を見ても、実感するものはなく、また日々の中で死を意識して生活している人は多くはいないはずだ。
実感としての死。
それは曖昧模糊とした生の輪郭をハッキリさせてくれるような、白と黒の関係にも似たものかもしれない。
巻末の評においても、同じ事が触れられている。

そんな視点もある本作でも、相変わらず伊坂ワールドが展開されている。
登場人物の伊坂リンクはもちろん、生活の中で使う何気ない言葉のやりとりが、妙に印象に残るのもこの人の魅力だ。
各人の言葉や行動、そしてリズム。リズムとリズムが重なる瞬間。そうした伊坂作品に登場する人物達に、親しみを持つ。
伊坂作品好きだなぁ俺。

もし世界が終わりを迎えることを知ったら、あなたは何をしますか?

おすすめ度:80点

俺は愛する人と一緒にいたいなぁ。
・・・それは無理だな。
「おい」「冗談ですよ」<(心の声)

追記:
「死は生の対極としてではなく、その一部として存在している」の一節、三島由紀夫の金閣寺ではなかった。。
蛍・納屋を焼く、その他の短編集に収録されている、"蛍"での一節だった。つまり村上春樹の言葉でした。

2009/07/08

黒笑小説

"君はすごい。もてないオーラの質が違う。"

黒笑小説 (集英社文庫)

著・東野圭吾

売れない小説家を題材にした4つのテーマを始め、なんでも巨乳に見えてしまう病気の男、飲めば「不能」になってしまう薬の開発、もてるためのモテモテスプレーを使う男、別れを告げられた女にスートーカーを強要される男など、全部で13ケの短編集。

売れない小説家の話では、その業界ではなかなか内情がリアルで話題になりそうな話だ。
長年執筆してきたが、売れ悩む小説家や新人賞に受賞して人生の急カーブにさしあたる男など、良い感じに「イタイ」話になっている。
東野圭吾自身、実は売れない時期が長く、最近やっと名を知られるようになった小説家なようで、周りにいる人の「手のひら返し」を直に体験している人物だと、巻末で奥田英朗は述べている。
この売れない小説家のストリーは、東野圭吾の皮肉的な作品なんだろう。
特定の人にとってはメッセージ性が強い。

その他にも「イタイ」作品がいろいろあるが、題材はどれも日常にあるものばかり。
ニヤリとしながら読める、ちょっとブレイクタイム、的な本。

おすすめ度:78点

2009/07/07

マノン・レスコー

"君といっしょに不幸なことこそ、ぼくには願っても無い運命なんだ"

著:アベ・プレヴォ

集英社版 世界文学全集第9巻より。

貴族の家庭に生まれ、正しい教養を施され、知性と徳を備える少年シュヴァリエ。
ある日パリ北方の町アミンから家へ帰る帰路の途中、女性の集団をみかけた。
それは修道院へ向う一行であったが、その中の一人にシュヴァリエは一目惚れしてしまう。
その女の名前はマノン・レスコー。
これはシュヴァリエとマノン、そして彼らの周りの人々との、狂おしいほど盲目的な愛のお話。

話は書き手がシュヴァリエから聞いた回想話として始まる。
才能と教養と徳と地位を持った少年シュヴァリエ。
頭脳明晰、容姿端麗、名声も得ることがあれば勇敢も兼ね備え、器用さも持ち合わせる非の打ち所がない人物。
彼の周りにいるのは親友ティベルシュはじめ、つっこみたくなるほど友情を体現しようとする人々。
そしてタイトルにもなっている女性、マノン・レスコー。
絶世の美女でシュヴァリアに言わせれば地上の全人類が彼女の前にひれ伏すというオーラを持つ人物。
だがしかし贅沢と快楽の亡者で、物語では例えるなら台風のように、シュヴァリアの運命を掻き乱す。
こいつがエグイ。歩くアリ地獄。
このマノンに出会ったシュヴァリアが狂ったように人生の面舵をまわす。まわしてまわしてそして壊す。
よくある、献身的な愛の美徳を感じる、そんな綺麗なストーリーではない。
親を仇にし友人には金を無心し賭場でイカサマを働き挙げ句は人を殺してしまう。
愛に溺れに溺れて7転80倒ぐらいするシュヴァリア。
しかしもちろん教養ある彼は愚かなほど真っ直ぐで、策略を張り巡らせて人を貶めたり強奪したりするのではない。
純粋な心の持ち主で、それが故に徳もありそれに応えてくれる友もいるのだが、全ては愛のためマノンのため、それらは全て二の次になってしまう。
彼の人生の理性でもあるディベルシュの説得が幾度無視されたことか。
しかしそれを上回る友情を以てしてシュヴァリエと接するのは驚嘆する。
そしてそれはディベルシュだけではない。
眩しすぎて直視できないぐらいの友情が描かれているのも、特徴だなぁ。

そんな友情をとっても、マノンへの愛の前には霞んでしまうシュヴァリアの人生。
彼が持っていたもの全てを捨て、全身全霊でマノンへ注ぐ彼の運命は"恋は盲目"の一言では片付けられないほど、波瀾万丈である。
オイオイオイとツッコミながら見るのもよし、ハンカチ片手にその姿に胸を打たれるのもよし、「ねーよ」と一蹴するもよし。
男と女で感想はまったく違うだろうこの作品。
三島由紀夫で心理描写作品に慣れたのか、けっこう面白かった。

おすすめ度:78点

ファム・ファタール(男たちを破滅させる女)を描いた文学作品としては最初のものといわれ、繊細な心理描写からロマン主義文学の走りともされる。
@wiki
だって。メモメモ。
あれだな、マノンみたいな女性を隠語で、「○○ってFF(ファム・ファタール)だよな」とか、「FF系」とか、「FF臭がする」とか使えるな。
これは流行る。俺の中で。

あつい

ついに家の近くで蝉が鳴き出した。
梅雨もまだ開けてないというのに、やつらは準備バッチリのようだ。あー夏だ。

今日は仕事で竜ヶ崎に行く事があったのだが、もうパラダイス。
ちょうど夕方だったので学校帰りなのか、目に入る人がほとんど女子高生。
ワイワイと歩いて帰る女子高生、チャリで帰る女子高生、バス待ちをする女子高生、なぜかランニングしながら帰る女子高生、、、
なになにこの女子世界。こんな世界が存在してたの?なんて言う竜宮城?
どうやら近くに元・女子校があるようで、今は共学だというのだが、しかし女子しかいないぜ。
もう勢いで竜宮城、じゃなかった竜ヶ崎に引っ越したくなってきた。
別に女子高生好きでもなんでもなけど、あの不思議な世界はちょっとビックリ。

そうそう、俺のお気に入りの映画「RENT」、ブロードウェイでのロングラン公演が去年閉幕してから意気消沈していたのだが、この夏日本に初来日、公演を行う。
まえまえから日本公演が気になっていて先行販売とかでもウズウズしていたけど、今日ついにチケットGET!
生ロジャー、生マークが見れる。
学生の頃オペラを見た時に字幕付き舞台を見た事があるけど、今回はどうなんだろ。
とにかく早く見たいぃぃ。

2009/07/05

映画いろいろざざー

映画。
いろいろ見たけど、その分忘れてる。
ざざーっとダイジェスト。
ざざざざざーー


○THE ANDROMEDA STRAIN
突如としておこる未知の現象。人がモノのように横たわっている町。
唯一現場からの映像で分かる事、それは人が悲鳴をあげ次々と倒れて行く姿。
一体これは何が原因なのか。
専門家達を暑め、この怪現象に立ち向かうミステリードラマ。

謎、ウイルス、危機、政府、未来、陰謀。。
単純ではない、様々な思惑が重なり、ストーリーに厚みをもたらす。
様々なベクトルが作用し、意外な方向に結末を迎える。
あのオチは現実味があって怖いわ。
海外ドラマ、レベル高し。
Part1,2の2本立て。おすすめ!

おすすめ度:85点


○デトロイト・メタル・シティ
メランコリーな少年がポップな音楽を嗜むために九州から上京してきたのだが、なぜかメタルバンド「デトロイトメタルシティ」のボーカル、ヨハネクラウザー2世として君臨することに、、

当時話題になった漫画が原作のギャグ映画。
ドラムのカミュの再現性が異常に高い。
あと劇中出てきたガールズバンドも完成度が高い気がする。あれはデビューさせてもいいのでは!?
個人的には公然猥褻カットにアイディア賞を授与したい。

おすすめ度:70点


○テネイシャスD 運命のピックをさがせ!
ロック一筋男が道ばたで運命の相棒と出会い、ひょんなことから運命のピックを手にすべく冒険出る。
彼らの珍道中を描くファンタジー(?)・ギャグ映画。

またもやジャック・ブラックが暴れている。
劇中に出てくるカイル・ガスと組むテネイシャスDは実在のバンドのよう。
やっぱジャック・ブラックは主演だとイキイキしている。
ショーシャンクの空に、のティム・ロビンスも出ている。
この人ジャックと違う映画でも競演してたな。仲良いのか。あれも面白かったけどタイトル忘れたぁ。
仲が良いといえば、ベン・スティラーがまたもや出ている。
この2人はあれだな。デキてるな。

おすすめ度:80点


○GUNDAM 逆襲のシャア
"地球に残っている連中は地球を汚染しているだけの、重力に魂を縛られている人々だ"

世は地球に住むアース・ノイドと、地球から出されて宇宙に建造されたコロニーに居住するスペース・ノイドの世界。
地球から宇宙を支配する人々において、その腐敗した内情を知り、またスペース・ノイドへの迫害の歴史に対し、一部のスペース・ノイドが反乱を起こす。
そのリーダーであるシャア・アズナブルは、小惑星を地球に落とし、彼らに粛正を行おうと狼煙を上げる。

いわずと知れたガンダムにおけ、一つの歴史の到達点。
地球上の人口が増えれば地上以外に居場所を見つけるのは自然であり、それが地下であったり他の星であったり、宇宙空間に佇むコロニーであったり。
これは現実の延長上にあるストーリーともいえる。
地上における争いがあるように、その延長上にある宇宙に置いても争いがあるのは至極当然で、その規模は地球に暮らすものと宇宙に暮らすものに区分されるほどに大きくなっている。
宇宙を住処に出来るほどに技術が進歩したにも関わらず、地球に留まり権利を振りかざす人々の存在。
まるで親に虐げられて家から出された子供が、逆上して実家を放火してしまう構図にも見て取れる。
いやそんなに単純じゃないんだけど。
一人暮らしの人が実家に帰って安心するように、地球を離れても、人はきっと潜在的に、精神的に地球を求めることが想像できる。
どんなに離れてても、実家は実家なのだ。
それを放火してしまったら、後に何が残るというのか。
といっても、地球にいったこともないスペース・ノイドが当たり前の世界では、きっとそれはもう新人類なのかもしれない。
そこで出てくるキーワードが、ニュータイプ。
「人類の革新」とも言われるこの言葉だが、話がどんどん発散していくのでここまでにしておく。
ガンダム見てない人はファーストからどうぞ。

おすすめ度:90点


○GUNDAM F91
"これが絶対民主主義に則った軍のやり方だ。大義も無く、目の前のちょっとした変化に、付和雷同する。"

世は「逆襲のシャア」の後世紀。
またもや連邦政府の腐敗に嫌気がさし、一部のスペース・ノイドが反乱を起こす。
「クロスボーン・バンガード」と称し自らの貴族主義を掲げて連邦政府にクーデターを起こす。

人間の歴史に反乱はつきもので、そこにはおおよそ思想の衝突がある。
世を支配する絶対民主主義に不満を募らせ、貴族主義を主張する組織が表に出てくるのだが、武力行使をするもんだからとうぜん戦争になる。
平和ボケした軍が市民を巻き込んで戦闘を行うっていうのは上記主義の対立に皮肉な絵として描かれているのだが、一方で組織のなかで蠢く陰謀も描かれており、後半はそちらが主となっている。
惜しまれるのはこれはストーリーとしては完全なものではなく、これを皮切りに展開されて行くはずのお話が、なくなってしまったということ。エンディングの文字を見れば分かるけど。
そのため、話が途中のまま映画は終わってしまう。
とはいっても劇中のキャラクター達の話は完結を迎えているので、その視点から見ればhappy.
当時小学生の俺は思想とか分からんかったけどねぇ。
とはいえ当時の俺も、いろいろセリフを覚えているもので、印象強い一つに以下がある。
ガンダムの開発担当者だった母親が、息子ののる船に乗り込み、ガンダムのメンテナンスに力を貸してほしいと頼まれる。
しかし息子が操縦している事実を知り、そんなことのためにガンダムを開発したのではないと、母親の顔を見せるシーン。
そこでメンテナンス主任が一言。
"お子さん以外の者は戦って死ぬのは構わないと仰るんですか!?"
主任かっけー!
研究の目的は違えど兵器開発者である顔と母親とう顔で葛藤するところにこの一言。
小学生ながら印象深いセリフだった。
ガンダムはドラマがあるよね。あるよね。
ということで逆シャアに続きF91もどうぞ。

おすすめ度:90点


○EAGLE EYE

人工知能を備えた超高性能コンピューターが恐ろしい命令を実行しようとするハイテク映画。

トランスフォーマーやインディージョーンズなど、スピルバーグお気に入りのシャイア・ラブーフが事件に巻き込まれる。
この手の映画は結構あるよね。アイロボットやターミネーターもそうだ。
どんどん便利になる世の中だけど、この映画を観て身の回りに電子機器が溢れていることに改めて気づかされる。
いつでも管理・監視されてしまう環境にあるわけだ。
便利を手にするとなかなかそこから抜け出せない。
こりゃガンダムが出来る前にコンピューターの反乱で人類は宇宙にも出れないかも!?

おすすめ度:78点


○ハンコック

空飛ぶ超人ハンコック。犯罪者を倒すがその度に住民は大迷惑という、ちょっと変わったヒーロー映画。

ウィルスミス強すぎ。バッドボーイズでこの活躍だとマーティン・ローレンスの出る幕が無いなぁ。
メンインブラックだと秘密組織もいらなくなる。
そうなると続編もいらない。トミー・リー・ジョーンズも出てこない。
そうなると知名度に影響してボスのCMも誕生しなかった!?
しかしウイルスミスは稼ぎ過ぎだな。
そして後半奥さんが強すぎて笑った。

おすすめ度:70点


○パコと魔法の絵本
他人に名前を覚えられると腹が立つくそじじいと、1日で記憶がリセットされる少女との心あたたかなファンタジー映画。

泣いたよ泣いた。大貫が泣くシーンにはやられた。
ストレートな作品で良いよね。単純に、あったかい。
ただそれだけじゃなく、絵本のように世界観を作ってるのがまた魅せられる。
そしてエッセンスに阿部サダヲ。最終的にもっていく。
相変わらず良い仕事するなちくしょう。大好きだ。

おすすめ度:85点


○おくりびと

いわずもがな。
終始作品の底の方で流れる温かさと、チェロの心地よい音。
やっぱ邦画って良いよね。

おすすめ度:85点


いや疲れた。