万年筆、からの。

昨日に続いて文房具ネタをついでに。

昔から、といっても社会人になってからだけど、文房具屋は憩いの場だと思える程度に文房具が好きな方。
センスの良い文房具屋を見つけると、ついつい長居してしまい時間に追われることもしばしばで。

文房具と言ってもその種類は多様で、かつその品質の高さから海外ではお土産になるほど、文房具は日本の一つの文化になっているのは周知の通り。
一方、文房具は日本のガラパゴス文化の一つを担い、複雑怪奇と化したこの分野において奇抜なアイディアで変態的な商品が世に出てくることももはや珍しくない。

例えば、トライアード社が出している "OMOSHIROI BLOCK"
一見通常のメモパッドなのだけど、使っていくうちに中に隠れた立体アートが露わになる、ユニークなアイディア商品。

清水寺や東京タワーなど、日本のお土産としては喜ばれそうな一品。そしてここ最近の新作は、土偶。
青森県とコラボして、ユネスコ世界文化遺産登録を目指している「北海道・北東北の縄文遺跡群」の認知を盛り上げようと、国宝である合掌土偶がメモパッドの中に隠れている。

いずれも面白いアイディアと面白くない値段で変態的な様相を呈している文房具(というかもはやアート作品枠)だ。気になる方はこちらからどうぞ↓
OMOSHIROI BLOCK

そうした文房具の分野における、数ある山々の一つに、"万年筆"山がある。
もはや王道で、誰しも一度は気になる山だと思うし、僕もその1人だ。

万年筆の世界も奥が深いというか頂きが全く見えず、中には実用というより装飾品、貴金属品なものもある。
もちろん僕には手の届かない世界であるしそっち方面の頂きには興味はないのだけど、実用品としての万年筆には興味がある。
ただし実用品としても万年筆はピンきりで、深みにはまるとなかなか抜けられなさそうな世界に見える。

じゃあどのあたりにいるのかといえば、登山口かあるいは3合目、富士山で言えば三軒茶屋あたりを行ったり来たりしているようなものだ。富士山登ったこと無いけど。
思い返してみると2012年にLAMYのアルスターに手を出してから、万年筆界隈をたまにふらつく行動を取るようになった。

万年筆の楽しみ方は人それぞれあるが、シンプルに僕はインクの色に魅了された口だ。
もちろんペンとしての書きやすさ、ペン先の太さ、インクの出る量の加減(インクフロー)とそこから生ずるペン先の滑らかさ具合だったり色のグラデーションだったり、とか色々あるけど、やはり好みのインクの色を使えるのは大きい。
(もっと言えば、インクの色も書くノートの紙質、種類によって変わる。これも色々と試したのだが、これについて書き出すと蛇足が過ぎるので今回はやめておく。。)

僕はといえば、PILOTの月夜一筋でずっときていて、この色が僕にとっては不思議と全然飽きない。

一方で、万年筆自体はさっきも言ったとおり行ったり来たりふらふらしている。
万年筆の恐ろしさの一つは、他のペンを試したくなることだ。もちろんそれは人に寄るんだろうけど、興味をくすぐられるとつい手を出してしまう、集めたくなってしまう、という性分があるので、その結果本数が増えてしまう。

どれくらい増えたかというと、ご覧のとおりだ。実にふらついている。



LAMYのEFから始まり、SHEAFFERのFで一度落ち着き、途中でrotringのアートペンが面白くなり、crossのMの太さに驚き、kawecoのMに関心し、PILOTのFに裏切られ(自分が悪い)、kawecoのFに手を出し。

ペン先の太さだけで評価できるものではないけれど、そんな流れでふらふらしてきた。
しかしここに来て、またムラムラと新しいペンが欲しくなってしまった。というのも、文房具屋で癒やされついでに万年筆の試し書きなんてするからそうなるのだ。

PILOTでグッと来るものがあったのだけど、そこはグッグッと我慢した。あれこれ増やしたくないので、一度忘れようと努力をしたのだ。
現在はkawecoで満足しているのもあって、今あるものを使い続けるのだ、と不断の言い聞かせをしていたのだけれど、気づけば僕の手元には新しい仲間が届いていた。



もうね、ダメ。抵抗できなかった。だってkawecoはお気に入りだから!
たまたまネットで仕入れた情報から、kawecoの日本では発売されていないモデルがあることを知ってしまい、それがかなり気に入ってしまったため、3分くらい逡巡した結果、ドイツからポチッと輸入してしまった。
9月の頭に注文してから実に3週間。トラッキングサイトでパッケージを追跡できるのだけど、フランクフルトで止まってまったく移動せずやきもきし、日本に到着したけど税関で動かなくなってやきもきし、来る日も来る日も最新情報をチェックしてしまうあの日々が、今となってはもはや良い思い出。
右のマッドなブラックはドストライクだったし、左のスポーツカーテイストは、そうした雰囲気はどこか下品と思いちょっと迷ったのだが、どうも気になってしまい結局入手。結果的に前のめりでアリだった。


さて、無い袖は振れないはずなのだが、僕の欲望は裸一貫で突き進み、色んな意味でトライを決める。(ちなみにタッチダウンはアメフト用語らしい)

むしろそのことに悔いはない。
あるのはただ、妻へのわびと、しばらくのさびの生活だ。

そう、この記事をしたためた真の目的は、己の愚かさと弱さをここに記録し認めつつ、関係する諸兄らには僕の懐事情を察して暖かく見守っていて欲しい、ということにある。

ということで、ちょっと大人しく生活しよう。。

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