777

引き続き富山の話しを少し。

みなさんは、スリーセブン、777 といえば、何が思い浮かぶだろうか。

  • 幸運の数字
  • スロットの大当たり
  • ボーイング
  • 全てのユーザーに全ての権限を与えるchmodのoption
  • 南アフリカ共和国の極右白人至上主義集団「アフリカーナー抵抗運動」において、666(アンチキリスト)に対抗する意味で、「777」とかたどったエンブレムを掲げていること

などなど。まぁ最後は知らなかったけども、ゾロ目で何かラッキーな暗示の印象を受ける。

しかし、こと富山のあるエリアにおいては、別の意味合いを持つ。
それは、夜のカラオケ食堂、いわんやスナックを指すのだ。

とある住宅街、富山県営鉄道の線路沿いにそれはある。
事の始まりは、富山在住の友人が前から興味を持ちつつも中々入れなかったようなので、せっかくなので入ってみようとなったことだった。

中に入ると小柄なママが一人でお店を切り盛りしている。
お店には3人の常連さんが顔を並べていた。
2人の男性はよく来るようで、もう1人のご婦人は、本日が誕生日とのことでみんなで祝杯をあげている。
その輪に混ぜてもらいつつ、地元の方と観光客とが交流すれば必ず生まれるであろう話、どこから来たのか、何しに来たのか、あるいは地元の話などに会話の花が咲くことに。

ここで突然だけど、富山県には東西2つの歴史があることをご存知だろうか。
僕は知らなかった。

富山県は富山市の中心部からやや西よりにある呉羽山という山を境にして東西に分けられると言われているようで、呉羽山よりも東の富山市をはじめとした呉東(ごとう)と呼ばれる地域と、高岡市をはじめとした西側の地域は呉西(ごせい)と呼ばれるのだとか。富山市を中心とした旧富山藩の地域とその両側を囲むように存在する旧加賀藩の地域とで違いが見られるものもあるとのこと。
司馬遼太郎もこの東西論について言及しているようで、興味のある人はグーグル先生に聞いてみて。

地元のおっちゃんたちもそれを熱く語っており、高校野球やスポーツ選手の誰が西で誰が東で、と語っている。基本的には同じ富山県民だとしつつ、感覚としては運動会の赤組白組で、自分の組を応援する感覚があるらしい。

ネット上には東西の地域差について書かれた論文もあり、なかなか興味深い。ざっと斜め読みすると、以下のことが挙げられるそうだ。北陸新幹線が開通する前の調査なので、少し年数は経っているものの、まだ傾向は変わらないはず。詳しくは参照先を読んでちょ。
  • 回答者の3/4が東西の違いを感じている
  • 高岡市よりも富山市の若い人でかつ民間企業に務めている人が比較的違いを感じている
  • 富山大学設置論争を覚えている高岡市に住む年齢の高い人が違いを感じている
  • 違いを感じる割合は、言葉遣い、年中行事が比較的高く、人柄では半数、食事では感じないとする回答が上回る。(ただ、実際に食事の違いは一部料理にあるよう)
  • 言葉遣いに関しては、呉西が西日本方言影響大きく、呉東が影響少ない
  • 若い人は東西関わらずマック派だが、年齢が高くなるとマクド派が増える

参照:
富山県の東西における地域差--富山市と高岡市のサーベイ調査から (高山 龍太郎 / 富山大学経済学部 )
https://ci.nii.ac.jp/naid/110006343021

他に雪の話であったり、富山の美味しい水の話、美味しい魚の話、米がうまい、いややっぱり水が美味いんだ、とそんな話で盛り上がる。

こうした話を展開しつつ、日本語の怪しいママが美味しい料理を出してくる。それも絶え間なく。
佃煮やらお漬物やら魚やら厚焼き玉子(なんと贅沢に卵5個使っての分厚さ!) などなど。

男子であれば経験があるかもしれない。実家にたまに帰ってご飯を食べると、母親が次から次へとおかずを出してくる、あの感覚。まさかここ富山で味わうとは。。

お酒を飲みご婦人がカラオケしている横で、怒涛のおかずラッシュ。
2両編成の鉄道がたまに通ると短い時間建物が揺れる、そんなガード下だかなんだかの妙な下町感を連想しながら、胃袋と相談する時間

そのうちおっさんの話よりも腹の苦しさで一杯になってくる。
そうかと思えば、ご婦人の片手にはタンブラーの中に並々入った日本酒。
それおかしくない?誕生日だから?

日本酒ご一緒した僕はといえばぐい呑グラスで呑んでいるのだけど、何の気をきかせたのかママは僕がおかわりと見るやいなや同じくタンブラーに日本酒を注いで出してくる。
富山駅への最終電車に乗る10分前で、もう出ると言ってもおかわり注いでくる。

ホントに時間がないのでお愛想すると、2,3時間はいただろう、それでも1人3000円である。食べて呑んで歌って楽しんで、これだ。訳がわからない。

実際、後から若いカップルが来てカラオケに混じってきたり、よく学生連中も来るらしい。幅広い年齢層が出入りするこのお店は、家庭料理が食べられる食堂でもあり、カラオケという娯楽を提供する場でもあり、あるいはちょっと人と会って話そう、と気軽に立ち寄れる場所でもあって、ママの懐の広さを実感するばかりだ。

とりあえず言えることは、今後スリーセブンと見聞きした時に連想するのは、間違いなく富山のここだ、ということ。


富山へ行った際は、立ち寄ってみてはどうだろう。
きっとお腹も心も一杯になるから。。

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