とんかつと珈琲

突然だけど、とんかつはうまい。
美味しいとんかつを食べれば、大体幸せになれるし、元気が出る。
故に今日のとんかつを発明した人は偉大だ。wikipediaによればトンカツという名称の由来は、”豚”の音読みの「トン」と、フランス料理の"côtelettes"(カツレツ)の組み合わせからきているそうで、とんかつを食べ慣れている僕からすればフランスで食べたカツレツはただの平たい食べ物でしかなかった記憶しかないし、言い換えればオリジナルを超えてとんかつというものが(僕の中で)偉大になっているということで、そう思えるまでに一つのジャンルを確立した歴史には感謝の念すら覚える。
もちろんこれは料理人の切磋琢磨した仕事だけではなく、豚肉の品質改良を弛まなく続けてきた生産者の方々の努力の賜物でもあり、その両輪で美味しいとんかつを食べられることを忘れてはいけない。

1月になると昔住んでいた街に行ってとんかつを食べて、近くのコーヒーショップで珈琲飲んで帰るるということがここ数年の習慣になりつつある。
昔よく利用していたスーパーやデバートは、いまは無く駅周辺の雰囲気はちょっと変わってしまっていたり、よく通っていたパン屋は違うお店に変わっていたり、お気に入りだったケーキ屋はいつの間にか移転していたり。
逆に公園と家族の風景はいつも変わらずそこにあったり、大きな並木道や裏道を走ったときの田舎の風景というのもやはりそのままで、時間の流れ方というのが皮膚感覚で違っていて、そこから想起される当時の記憶だったり感情だったり、そうしたものがふと湧いてきたりする。

そんなことを思いつつ、やっぱりここのとんかつは裏切らないなぁ、としみじみ美味しく頂けることを、ちょっと有り難く思ったり、腹一杯になって満足して帰りの首都高を考えると億劫になったり。
だから、珈琲で気持ちを切り替える必要があって、これまたいつもと同じお店に顔をだすのだ。

また来年、そう思うには何だか早すぎるけど、こうしてまた今年を駆け抜けるのです。


コメント