USその3

不定期USその3.
もはや、いつの話か、何をそんなに大事に投下するのかとう趣すら感じられるのだけども、この話には記憶のために触れておきたい。

あれは渡米して2週間目の事だったろうか。
1週目は緊張もあったからなのか、夏ということもありポロシャツで過ごしていたのだけど、2週目からはオフィスの寒さに気づくようになり思わず退社後にGAPで羽織れるものを買うほどにオフィスでの寒気を感じた。その時はアメリカ人の肌の強さを感じまた人体構造の違いを想像したものだけども、どうやらこの時から僕の体には異変が起きていたのかもしれない。
オフィスでは寒さをしのいでホテルでは買ってきたアルコールを飲むのにも気が乗らない、そんな数日を過した後の週末、眠れないほどの鈍い痛みと戦い額に汗する夜を過ごすとは夢にも思わなかった。
海外で病院のお世話になることは極力避けたい。これは誰もが思う考えなのではないだろうか。
様子を見て自分でどうにかなるのならどうにかしたいし海外で診察された日にはどんなめに会うのかすら判らない。
その思いで以って僕はシェムリアップ空港の便座で鎮座在しました結果飛行機に乗り遅れそうになるところまで行ったのだ。
そう易々と病院にかかってなるものか。
そんなことを思う余裕もなくベッドの上で悶え抜いた結果、もはやこれまで、背中の右背面が鈍く痛むので内蔵にダメージを残すと今後の生活に支障をきたすという思いから、自力で緊急病院へ車で向かうことにした。
以下の写真はその結果である。


脂汗をかきながら高速を飛ばし行き着いた先はデューク大学病院。到着は確か4時ごろだろうか。
また暗い敷地の駐車場に車をおいたものの、広いのでまずどこの棟がER受付なのか判らない。
たまらず病院の代表番号で入口を問い合わせるが非常に早口で何言ってるか分からん。
そんなところたまたま関係者と見える白衣を着た女性が歩いたので幸いにして受付の場所を聞くことができた。
さてERいわんや海外での病院体験は初めてなのだけど、住所や連絡先や指名を書いた後に、簡単に脈拍や体温を取られ、個室に移動させられる。
この写真がストレッチャー件、緊急外来用のベッドでありソファである。


受付スタッフとは別にERの各スタッフが部屋にやってくる。
若い女性で僕の担当をするという女医、問診をしてくるおばはん、会計のやり取りを行うお姉様。次々に越えるべき壁が責めてくる。
まず問診が辛い。単語単語が何言っているか分からんし、こういう時こそGoogle先生が役に立つのだ。(みんなネット接続ができるようにしておいた方が良い。)
しまいには、必ずする質問として自殺しようとした?という質問が飛んでくるのには闇を感じてしまう。
会計の質問では会社でリカバリーすることを言っても執拗に個人保険を聞いてくるのでそれを伝えたし、そのことが翻って高額請求が予想に難くない。


検査は色々された。
CTスキャンもされたのだから検査というものは一通り受けたと思っても誤りはないのではないだろうか。
CT室の天井は青空が描かれており患者にリラックスを与えるようできている。
あれを見てリラックスするかは患者次第だけども。
機械は当たり前だがアメリカ仕様で、息を吸って、吐いては目の前のアイコンと指示の放送が、妙に、僕は海外にいるのだなぁという気持ちを高めた。
ストレッチャーで僕を運ぶCTの技師はまるでプロレスラーのようにいかつくて、左上腕には"死が二人を別つまで"と日本語で刻まれているのが非常に感慨深く僕の記憶に刻まれている。
ERに駆け込んだ身として見る人にとっては深すぎる言葉である。

こうして専門用語攻めと検査を乗り越え腰にブロック注射を打ってもらい何とか痛みが柔らいだ僕はホテルに帰るのであった。

さて、アメリカの医療システムはよくできている。
例えば色々と検査されたその結果の診断を聞く段に、翻訳体制を大学病院は整えている。
僕を担当するという女医は実は大学生であり、主治医は別のタイミングでひょっこり顔を出したという驚きはあったのだけれど、検査結果は一同を介して、かつ日本語の通訳者を電話で繋いで説明するという体制だ。
さすが医療先端国だ。
病院を後にしても続いていて、例えば薬はどこの薬局に行っても名前を言って本人確認ができれば処方してくれる。あるいはERなのかCTにかかったらなのか、後日院内レビューというものがあって、当日の診断あるいは処方された薬が正しいかというのをレビューしているそうだ。
その結果、僕の診断もそのメスが入って、テキサス州にいたのだけど電話がかかってきて当日処方された薬を飲むのをやめて、別の薬に変えろというのだ。
前述の通りその薬は名前を出せば最寄りの薬局で買えるようになっているから、アメリカは便利だ。
ちなみに、薬嫌いの僕はさっさと服用をやめてしまった結果、帰国後に再発するという阿保なことをやっているので、みなさま用法用量は正しく守りましょう。

こうして初の海外出張、初のERを体験して何とか帰国した僕に待っているのは過酷な請求書。。という訳ではなく、個人保険に入っていたのでその難を免れた。
むしろ今までの保険料を取り戻した感がある。
消えたカーナビの補填はもちろん、このERでかかる費用もカバーしてくれている。
ERの費用がどれほどかかったのか興味があったので教えてもらったのだけど、今回の場合は請求におおよそ3ヶ月を要し、ざっくり8,000ドルかかったというのだから、お国によって医療事情というのはこんなにも違うものかと痛感せずにはいられない。

みなさま、くれぐれも渡航の際は個人保険に入りましょう!




コメント

  1. お疲れ様でした。個人保険必要なのね…。

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  2. 会社の仕組みも使えるけども、足は出るけど個人保険の方がダントツ都合が良さそうというのが今回の感想ですよ。渡航の際は是非ご検討を!(謎の営業)

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