PK

"PKのチャンスが来たら、外してください"

PK 講談社文庫


著・伊坂幸太郎


サッカー選手と、政治家と、秘書官と、作家とその友達と、警備会社の営業と、技師長と、僕と私と、あとスーパーマン。

これはこの小説に登場してくる主な登場人物。

久しぶりに伊坂小説を読んだ。どれくらいぶりだろう。
確かSOSの猿が最後だった。あれは印象にあまり残らないものだったなぁ。。

久しぶりに読んだ伊坂作品は、僕の知ってる感触とはちょっと違っていた。

あれ、こんな作風に変わったの?
昔の友人に久しぶりに会ったら、昔とはちょっと違う、みたいな。

キャラクターの掛け合いには伊坂ユーモアを持たせながらも、文体から折り目正しい堅さを滲ませる。
なんで真面目になったんだろうと不思議がっていたら、あとがきで収録されている三編中の二編は純文学誌に掲載されたものだと知り、なるほど、それで襟が立て気味だったのかと合点がいった。

物語はというと、これもまた僕の知っている感触とは違っている構成だった。
レトリックとして使われているそれは、決して新鮮味のあるものではなく、SF作品では古今東西溢れているとも言えるものではある。
まぁ伊坂さんがそれを使ったらこうなるよ、という感じ。

読んでいるとボタンの掛け違いに気づいていくのだけど、その掛け違いの違和感に潜むドミノ達が通れていくと、最後には物語の輪郭を作るようになっている。
ここらへんは伊坂さんのいつもの職人芸ですね。

倒れるドミノは、先ほどの登場人物達。
そのキーになるものが、意外なアイツだったりする。

どんな倒れ方をしていくか気になった人は、本書を読んでみてはどうでしょ。

コメント

  1. 気になったので読んでみようと思い手配しようとしたら、既読だった罠。

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    1. しゅにん、ありがちですな。幸いにもまだ同じ本を掴んだことはないけど、いつかやってしまいそう。

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