オーケストラ!

"オーケストラは一つの世界だ。世界なんだよ。"





かつて天才指揮者であったアンドレイ・フィリポフは、ある事件をきっかけに舞台から姿を消し、今はロシアはモスクワにあるボリジョイで清掃員として劇場に従事する。
そんなある日、彼は一枚のFAXを手にする。
それはボリショイ劇場管弦楽団宛に来た招待状で、パリの一流劇場からの演奏依頼だった。 彼はそれを手にとり昔の楽員達へ呼びかける。彼にはある思惑があるのだ。
しかし30年というブランクを抱えており、さらにはボリショイ宛に来たものを、成りすましてパリに行こうと計画を立てる。
果たして彼の計画と思惑はどうなるのか…。

テレビが壊れてもう半年ほど。
全く支障はないのだけど、世界街歩きが見れない事と、映画が見れないことはちと寂しい。
以前は、「映画はパソコンでは見ない!」と思っていたけれど、まあ物理的に見れない今となってはパソコンで見る他無く。
 ということで久しぶりに手にしたDVDで、いきなり当りをひいたのがこの映画。 

(少々のネタバレ含む続きはタイトルをぽちり) 



製作はフランスなので、文学的で暗い感じなのかなぁ (いまだに先入観がぬぐえない) 、と思いつつ見てみるとロシア語が飛び交っておりワッツハップン。
それもそのはず、舞台はモスクワ発のオーケストラ楽員、といっても今はそれぞれ違う仕事をしている、ブランク30年の思い出話レベルのオーケストラ団のお話。
とはいってもさすが元オーケストラ楽員なのか、楽器はだいたいが持っていて、まだまだ演奏は任せろ!という勢い。
物語はイントロにもあったFAX文書を手に入れるところから始まる。
パリ劇場との交渉をする必要が出るのだが、それをある人物に頼む事になる。
それは、かつて演奏の邪魔をされ、そしてそれが最後の演奏となった、記憶に刻み込まれているほどの忌まわしい相手であるガヴリーロフその人だ。
ガヴリーロフは熱心な共産主義者で今もその活動を続けている。
アンドレイと楽員達がオーケストラの舞台から下ろされたのも、このガヴリーロフのせいだった。

 ……この勢いでかくと全部書く勢いになるのでやめておこう。

まず全体を通してユーモアのエッセンスがきいていて、明るく楽しめる。
ブランクを越えて昔が甦っていく瞬間と、その起爆剤となる演出が良くて切ない。一つのレクイエムになっているのがこれまた良い。
ユダヤ人が金儲けで遅刻する、共産主義者が神を信じるようになる、というシーンがとっても西洋チック。
アンドレイが劇場に上がった時に本気モードになって、もの凄く無愛想になる。(いや緊張感が伝わってくる)
サーシャの良い男ぶりに惚れる。 
最後に演奏されるオーケストラが良い。演出・ストーリーとベストマッチで、もう何度も聞いてる。
(ちなみにクラシックへの理解はない。)

とまぁ色々書いたけど、これを全て忘れるぐらい、アンヌ=マリー役のメラニー・ロランがかわいい。 オーケストラ!の9割はメラニーで出来ていると思うぐらいかわいい。(言い過ぎた)

そんなことを言いつつも、色んな要素がつまったヒューマン映画。おすすめ。

というわけでパリでメラニーちゃん探してきます。

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