ソフィーの世界

"本は燃えても世界は無傷だよ、ソフィー。むしろ以前よりくっきりと、ういういしくなっている。"

ソフィーの世界―哲学者からの不思議な手紙

著:ヨースタイン ゴルデル / 翻訳:池田 香代子

ソフィー・アムンセンは、もうじき誕生日を迎える、14歳の女の子。
父親は石油タンカーの船長でほとんど一年中家を留守にしている。
母親は昼間は仕事に出ているので、学校から帰ったソフィーはいつも宿題をしに自分の部屋へいくのが日常。
ある日、ソフィーは普段ならどっさりのDMと母宛の封筒の入っている郵便箱に、ソフィー宛の小さな封筒があるのを見つけた。
封筒の中身には紙切れが一枚だけ。そこにはこう書かれていた。

「あなたはだれ?」

この紙の発見と共に、ソフィーの世界が幕を開ける。


友人から教えてもらった、この本。もっと早くに読みたかった!

哲学の歴史をなぞるように、ソフィーの物語は進んで行く。
その輪郭の周りでふらふらしている俺にはおあつらい向きの本だ。一気に読めた。

ただ歴史を紹介している訳ではなくて、物語になっている。
それはいくつかの仕掛けを散りばめた、おもちゃ箱のようだ。
おもちゃ箱と見るかガラクタ箱と見るのは人それぞれだろうな。
内容について言うと無粋になるのでここで留めておこう。

1つ言うとすれば、ソフィーの母親のこと。
あの姿勢は印象的だ。その周りに比べてみると一層際立つ。
あれは著者が抱いている、女性の抽象像なんだろうな。(何に対してかは言わない、言えないけど)
それは理性的というより感覚的に、理論的というより実践的に。そしてそこに漂う大きな愛。
本書を読めば分かる様に、全体を通じて、女性に対する大きな希望がそこにあるんだろう。
大きな川に今までは無かったもの。母性のようなものを、著者はそこに求めている。そんな気がする。
(これは著者のイドなのかもしれない。いやもしかしたら俺のイドなのかも。いやいや、もしかしたら、、?)

ということで、1991年ノルウェー発のこのベストセラー本。
恐らく大なり小なり、その後に続くその手の本に影響を与えたのではなかろうか。
哲学書というより、歴史を俯瞰した寓話、といった具合に読めばいいのでは。
興味があれば是非読んで見てはいかがでしょ。

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