ヨーロッパ思想入門

"ヨーロッパ思想は、本質的に、ギリシアの思想とヘブライの信仰という二つの基調音をめぐって展開される変奏曲である。"



著・岩田靖夫

なにやら難しい事を華麗に言おうとしている。
というかクラシックをほとんど聞かない俺は、この冒頭文のセンスを見るに適当ではないのかもしれない。
そんなことを思いつつ、ヨーロッパ思想は著者曰く2つが要だという。

1.ギリシア思想
第一に人間の自由と平等の自覚。
王制の下にある奴隷的な生を経て、人間は本来自由で平等な存在者という自覚が生まれ、デモクラシーが誕生した。
これこそ人類の最高の発見だ。と著者は言う。
第二に理性主義。
これは変転する多彩な現象世界の底に、それらを統括し支配している恒久的な法則や秩序を見通そうとする姿勢である。
この姿勢が、神々の恣意的な支配から開放し、哲学が誕生し、自然因果関係の現象説明のための科学が誕生し、純粋な論理を追求する数学が誕生した。と彼は歌う。

2.ヘブライの信仰。
第一に、唯一の超越的な神が天地万物の創造物であるという点でありこれは宇宙の中のいかなるものも神ではないとする。
古代世界からのアニミズムが否定され、世界から魔人的な力が放逐された。
第二に、神が自己の似姿として人間を想像した。それは神が愛だからであり、愛は他者を求めるからである。
第三に、イエスの教えによって生まれた、「隣人を愛せ」である。

だそうだ!
さぁ、ここまで読んで興味が無い人は違うページに移動してくれれば良し。
興味があるのかヒマがあるのか、そのいずれもなのか、そんな人は俺メモを引き続きどうぞ。
(タイトルをポチっとな)


まずギリシア思想。

歴史を振り返る上で、文学というのは当時の文化を知るのに一つの道標となる。そこで、代表的なのがホメロスという吟遊詩人。
彼の語る世界は人間と神々が交差する世界である。戦争で活躍する英雄達とその神々の話が展開される。
ギリシャ神話の神々。ゼウスやポセイドン、ハデス、、等々、一度は耳にしたことあるだろう。
神話の神々は人間のもつ情熱や喜怒哀楽その他諸々をより強烈な感情として持っている。
それは、以下のことを差している。
"神々とは永遠化された人間であり、人間の本質への賛歌にほかならない。"
ホメロスの語る物語から見えるのはギリシャ人達の人生観だ。そして彼らが善としたものは以下だ。
"人生の喜びとは、知的・肉体的なアレテー(自己の全能力)を発揮して人生の与えるよきものを享受することであり、そのためには頑健な肉体と鋭い知力が必要だった。それゆえ、老年と死はもっとも嘆かわしい悪とみなされた。"
これはギリシャ時代の美術品を見れば明らかだ。

紀元前8世紀、ポリス形成による民主制が誕生するのであり、ギリシア人の旺盛な世界文明の活動力の開花が見られ、ホメロスはその発端に位置する。

哲学は紀元前6世紀にイオニア地方のギリシア人植民都市ミレトスではじまった。
世界の本質を探求する人々から哲学は生まれた。最初に哲学した人はタレスといわれているが、彼は世界の秩序は神話にはない、「万物(アルケー)は水である」と説き、世界は水から成り、水へ還ると考えた。
タレスを初めとして、他の哲学には例として以下がある。
クセノパネスがホメロスの擬似的神観の否定を跳躍大にし、神の超越性/精神性/唯一性を方向付けた。
ヘラクレイトスは「同じ川には二度入れない」「時は遊び戯れる子ども」と言い、同一なるものの永劫回帰を説いた。
ピタゴラスは「万物は数である」と説いて、世界の法則を数で表した。
パルメニデスは「理性によって把握されたもののみが真に存在する」と語り、「ある」に対する洞察において、存在論の礎となった。
彼らは他の領域でも大活躍しているし、他にも様々な哲学者がいる。デモクリトス先生もいる。
でもとりあえずそれはおいておいて、ギリシア哲学の成熟として、ソクラテス大先生がいる。「無知の知」だ。
自分の無知を自覚しているということだけど、当時大流行していた詭弁論に対してこの姿勢は詭弁者達(相対主義者)には脅威であった。
しかし彼の哲学における問題は、「人間いかに生きるべきか」であり、ロゴスにおいてその根底に善の認識がなければならないとして、「善い生を生きよ」と彼は言う。彼の人生からも分かるけど、彼は哲学に人生の情熱を傾けた人であったのだ。
そのソクラテスの弟子であるプラトンはイデア論を説いて哲学王を語った。
そのプラトンの弟子がアリストテレスである。彼もまたソクラテスの設定した問題をプラトンから引き継いでおり、善について語っている。
加えて、アリストテレスは人間を「共同体(ポリス)的動物」として社会的存在と定義している。
人間は互いに他を必要とし、営みが営みを生んでその到達の先は国家共同体である。
それでは人間はどのような国家はつくるべきか。
彼は共同体の構成員を市民と規定し、その資格として「審議と裁判に参与しうる能力の所有」としている。
共同体は絶対王政でも貴族制であってはならない。あるべき政治体制は共同体の全ての構成員が平等に権力にあずかる体制であり、「中間(中庸)の国制」であり、それを今日ではデモクラシーと呼ぶ。

このようにギリシャ人達はデモクラシーを生み世界を哲学して生きた。
哲学の歴史の本を読む度に、彼らの考えを見ていると、人間の想像力の偉大さには感動を覚える。
そして彼らの学識の広さには畏敬の念を抱く。ほんと超人すぎる。想像して探求して議論して洞察して哲学する。

この超人達の姿勢を継承、発展、もしくは転回、あるいは否定をして、後世の哲学者達は哲学を押し進める。
中世キリスト教哲学ではアウグスティヌスやオッカム、ルター。
理性主義の哲学ではデカルト、カントが。
経験主義の哲学ではヒューム。
社会の哲学ではロック、ロールズがあり、実在の哲学ではキルケゴール、ニーチェにハイデガー、レヴィナスがいる。
本書で多くの哲学者からほんのちょびっと紹介されているのは、主に上の例だ。
個々にメモはしない。きりがないから!


次にヘブライの信仰。
旧約聖書が歴史を知る素材になっている。信仰の父として、アブラハムがあり、そしてイスラエル民族の脱エジプト紀がある。
脱エジプトで彼らを率いたモーセが十戒を神ヤーヴェから授かり、信仰が生まれ、イスラエル民族が誕生した。
次に創世記において天地創造があり、人間が誕生した。
一方、旧約の中には預言者が存在する。初めイスラエルの人々は唯一神ヤーヴェを礼拝するが、預言者達は新しい神の姿を示す。
本書では、イザヤ、アモス、ホセアの三人をとりあげ、それぞれ紹介している。
そして新約聖書でイエスが登場し、隣人の愛を説く。

のちにニーチェが「神は死んだ」と語ったキリスト教の誕生と歴史について、本書ではその物語を通して紹介する。


以上、キリスト思想とヘブライの信仰。
(ヘブライの信仰はさらっとしすぎた。。)

ヨーロッパの歴史を知るには思想も信仰も重要だ。
信仰よりも思想に興味があるから哲学の入り口の周りをブラブラしている。でも信仰も思想も相通ずるところはあるから、避けては通れないんだろうなぁ。
そしてこの手の本は、当たり前だが、著者により解釈が様々だ。(本書は思想の流れがメインなので、解釈の比重は少ないけど。)
著者を分散するべきか。でもそれは発散になる。
一に対して多の著者を読むべきか。なむなむ。

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