もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら

"その立場の人間が、結果ではなくプロセスを大切にするというのは、やっぱり真摯さに欠けると思うの"

もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら

著・岩崎 夏海

高校二年生の夏休み直前、川島みなみは突然、野球部のマネージャーになる。
野球部とは縁もゆかりもなく、マネージャーすらやったこともない。
しかし彼女はその任を預かった時から、1つの目標を定めていた。
「野球部を甲子園に連れいく」
その野球部はというと、無断欠席は当たり前、地区大会も1回戦突破すら危ぶまれる、甲子園など夢のまた夢--な状態。
そんな中、彼女は一冊の本と出会う。 それは、P.F.ドラッカー著の「マネジメント」
彼女がこの本と出会い、そして野球部はどう変化していくか。
新ジャンルの経営本が幕を開ける!

イントロはそんなところでしょうか。
まず驚くのは登場人物のポテンシャルの高さ!
東大生も輩出する進学校。やはりデキル人が集まっているのか、打てば響く展開が次々と。
やれば出来る子達揃い過ぎ。というか部活でマネジメント手法が繰り広げられて色んなプランが実行されるけど、結構濃縮されていて、進学校にそんな時間あるのか?いや、こなしているということはかなりの効率化が計られているのだろう、川島みなみその他恐るべし。

などというツッコミをするのは野暮である。
エッセンスはドラッカーの書いた「マネジメント」の教えを基に、みなみちゃんがどう考え、どうこなして、どのような結果を得られたか。
そう、ビジネス本やハウツー本などもひっくるめて、「本の教え」に対して「実践する」ということを疑似体験できる本であるということ。
そして重要なのは、「真摯」というキーワード。
この真摯であることの大切さ、真摯である姿勢ついて、本の中でそれが見え隠れする。
真摯というのは素質である。覚えるものではない。そう作中では紹介される。
俺にその素質はあるのだろうか。
これは生きて行く上での姿勢でもあるから、心に念じていこう。

名前なら聞いた事のあるかもしれない、著名なドラッカーの本を、青春スポーツ漫画の代表格である野球を題材に、平易に落とし込んで気軽に読める形にした一冊。
小難しい経営の本が、奇抜なアイディアで一般化したのが人気の要素だろうし、本がブームになるほど実際ドラッカーの人気ってのは高いんだなぁ。
ちなみにドラッカー自身は、欧米ではそこまでメジャーではなく、日本で特に人気があるという文を読んだ事あるな。
ドラッカーは経営手法を説くより、人生教訓や人生哲学が中心で、それに魅了される日本人が多いんだって。じっちゃんが言ってた。いや言ってない。その文に書いてあった。
しかし、誰が書いたとしても、本で得られた知識は使ってナンボ。本を読んでは片っ端から忘れて行く俺の怠惰なシナプスよ。みなみちゃんを学べ。
それに加えて、みなみの幼なじみである夕紀の人を観る洞察力が凄い。弟子にして欲しい。

ということで、朝倉南がドラッカーを読んでいたらこうなっていたかもしれない。いや南ちゃんがいてくれるだけで甲子園にいけるんだ。いやいやそもそも南ちゃん関係ないから。
そんな声が聞こえてきそうでこなさそうな本。

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