鴨川ホルモー

”あるものは、あるのである”

鴨川ホルモー (角川文庫)

著・万城目 学

主人公・阿部は京大の総合人間学部に属する一年生。
同じ京大生の高村と歩いていたところ、サークルの新人歓迎コンパのビラを手渡される。
「一緒にENJOYしませんか? 京大青竜会」
そう書かれたビラを手にした事をきっかけに、平安の時代より伝承されてきたとまこと密やかに言い伝えられる「ホルモー」に関わる事になっていく、、、

ホルモーとは。
競技人数は二十人、敵と味方で半数に分かれ、最後の一人が試合の場からいなくなるまで続き、全滅した時点で勝敗がつく。
実際にはどちらかの代表者が降参を宣言した時点で終了する。
これだけではよく分からない。
具体的には、、、まあ本編をみてもらえれば分かる。
物語はこの「ホルモー」を中心に巻き起こる騒動のお話。
正体不明のサークルに勧誘され、同席した新入生に愛しきあの子がいるもんだからまんまとサークルに加入したところ、あれよあれよとホルモーに参加する事になる。
しかも、歴史の1ページとなる騒動を引き起こす張本人になってしまう。

京都を舞台にする小説家として真っ先に思いつくのが、過去の日記で何度か触れた森見登美彦さん。
この鴨川ホルモーを読んでいて途中途中、その表現に森見さんの影が見えるのは俺の思い込みか。
固い言い回しや古い表現を見ると、しかも舞台が京都なもんだから否応無しに森見ワールドを思い出す。
ああ、森見ウイルスに感染している、、、
さらには、主人公が騒動に巻き込まれる、打ちのめされる、友人が変態、というのがまた森見ワールドに共通しているのだが、、、
もうこの際それは置いておこう。
ストーリーは別なのだ。
まだ見てはいないが、映画化されている事から、そのエンタテイメント性の高さが分かると思う。
ホルモーに参加することになる阿倍の行動やまさかの展開、ただのちょっと変な友人という位置にいたかと思っていた高村だったが、まさかの面白キャラにチェンジをする第二の高村、そして何よりホルモーという競技。
まさにアイディア作品だろう。
それをコミカルにまとめ上げて一気に読ませてくれる。
文庫本で約290ページと、そんなに時間をかけずに読める、手頃な小説。

森見vs万城目。これからどうなるか。。

ということで、何も考えずにサクッと楽しめる小説。空いた時間にどうぞ。
特に小説を読まないでも映画は楽しめるだろうな。

おすすめ度:80点

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