リピート

"この歴史全体が、私たちが思っている以上に、頑固に出来てるんじゃないかって、私、そんなふうに思ったの。"

リピート (文春文庫)

著・乾くるみ

イニシエーション・ラブから一気に読破。

9人の男女と1人の男。
ある日、主人公・毛利の自宅に一本の電話がかかってくる。
「これから地震が起きます」
風間と名乗る男は、時刻と震度を正確に当ててしまう。
この突然の電話に困惑する毛利だが、風間の指定した中華料亭に足を運ぶと、そこに集まったのは9人の男女と1人の男、風間であった。
そこで風間から説明された内容は、彼らの人生の歯車を変えてしまうようなことだった。

誰もが一度は考えるだろう。タイムマシーンがあったなら。
あの頃に戻りたい。もしくは、未来の世界を見てみたい、など、、、
どら○もんよろしく机の引き出しを開けるとタイムマシーンが、などという内容ではない。
未来にはいけないし、特定の日時に戻る事しかできない。
そして戻るには、特定の日時・場所に出現する"黒いオーロラ"に、ヘリコプターで飛び込むしか手段はない。

およそタイムマシーンにはほど遠い、しかし過去に戻る事が出来る"手段"の存在。
そしてストーリーに登場する人物達の、希望や思惑、成功、失敗、絶望、そして真実。
内容から挙げてみると、"カオス理論"のことをご存知だろうか。
"東京でチョウチョウがバタバタって羽ばたくと、その影響で、一週間後にニューヨークで雨が降る"
このバタフライ効果といわれるもののように、彼らが過去に戻ったこと、すなわち"リピート"することにより、過去に過ごした時間を再び過ごす事になる。
そこで起こる差異が、カオス理論のごとく事象を引き起こして行くことになる。
そんなエッセンスを少し含み、"リピート"した後に起こる様々な問題を、彼らは考え、真実へと近づいてく。
そう、いうなればSF推理サスペンスストーリーだろうか。

彼ら、特に主人公が感じるジレンマや問題、そして訪れるエンディング。
なんだろうね、これを言ったら若干のネタバレにもなるけど、イニシエーション・ラブといいリピートといい、仕上げは冷たく引き締め系(?)が好きなのか。
さすが名前からして乾いてるぜ。いや関係ないか。

おすすめ度:70点

ちょっとSF系読みたい、でもがっつりSFじゃなくて良い、って人はどうぞ。

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