story seller

「他人が作ったストーリーに満足して、自分のあまりに普通な人生を疑わずに進む普通の人たち、それが何よりもすごい」

Story Seller (新潮文庫)

つまみぐい本。
旬の小説家さん達が7人集まり、それぞれの短編ストーリーを味わえる本。
まさに小説のつまみぐい。

出演者は以下。

1.伊坂幸太郎/「首切り男の周辺」
2.近藤史恵/「プロトンの中の孤独」
3.有川浩/「ストーリー・セラー」
4.米澤穂信/「玉野五十鈴の誉れ」
5.佐藤友哉/「333のテッペン」
6.道尾秀介/「光の箱」
7.本田孝好/「ここじゃない場所」

伊坂さんの話を読みたくて買ってみたけど、どれも良い話ばかり。
ギュッとまとめると、

1.首切り事件を起点とした相変わらずの伊坂リンクの物語。
 やっぱり演出と登場人物像が好き。どこか親近感を持たせてくれる。読み手に親切な人だよなぁ。
2.ロードレーサーの機微をみせる物語。
 伊坂作品とは異なる空気。特にこれはチーム内での機微が焦点。男的な読み物。
3.力強くも儚い男女2人の物語
 インパクトある話。話の引き締めというか、強さを感じる。描写がうまいんだと思う。
4.由緒正しい家に生まれた少女の、たった一つの希望の物語
 少女のクローズド世界に現れた希望のお話だが、これは配置負けでしょ。個人的に前後の作品がhitしたからさ。
5.地上から333m離れた場所でおきた、事件と男の物語
 "普通ではない男"を通して、男の"揺れ"を事件を軸に展開される。作者独特の視線なんだろうなこれは。
6.男と女の、過去、そして今の物語。
 完全にやられた。その手法に。
7.現実に退屈しきった女子高生が、ひょんなことから世の中が180度変わっていく物語
 途中まで完全に思い込み物語。かと思いきや、物語の後半から作者に裏切られる。
 いや、これはヒネクレ目線のオレだけか?

伊坂さんはもう安定的に自分の中では好きだけど、この中では特に有川さん、佐藤さんに興味が湧いた。
つまみぐい本と行ったけど、出会い本でもあるねこれは。

ちょっと新しい作品に会いたい人は、是非。

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