夜は短し、歩けよ乙女

「諸君、異論があるか。あればことごとく却下だ。」

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)

著・森見登美彦

すでに定番となった森見作品。
先輩と黒髪の乙女が語る、奇天烈物語の記録である。
過去の作品からは懐かしい、樋口師匠や羽貫さんなども出演する。

相も変わらず京都で起こる、森見ワールド。
過去の登場人物も駆使するなど、ますますその世界を形成していく森見さん。
いつもながらの四畳半孤独男の視点に加え、新たに初の女性視点、黒髪の乙女からの物語も語られる。
2者の視点から眺める屈折純粋物語。

なぜに毎度毎度、森見作品に出てくる人物は乙女を求め続けるのか。
そこには森見さんの苦渋の過去があるのかしらん。

定着しすぎてそろそろお腹いっぱい感も出てくるが、面白い。
2者の視点からという新演出が、交差しては離れてまた交差してと、物語の出来事を2面で楽しめる。

作風はいつも通りでこのまま延長試合を続ける印象がある一方、愚直に突き進む信念すら感じる。。

いつもの森見語りと乙女のエッセンス。
この乙女も実は変人という。

何度も言うように、森見さんの作品は読む人を選ぶと思う。
その一方で第20回山本周五郎賞もしている本作、ものの試しにどうでしょう。

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