スコットランドヤード・ゲーム

「ねぇタルト、肉体とは別に、心は、そこへの進化を目指している」

スコットランドヤード・ゲーム

著・野島伸司

石井樽人は24歳社会人。
あの日から20年が立ち、母親は再婚して今はハネムーンに行っている。
樽人の祖母マキさんは、ケーキ屋"ミニョン"を経営しており、同じ屋根の下で寝泊まりしている。
そんな樽人に、最近2つの出来事があった。
ミニョンに新しい店員として、夏彦が来た事。
樽人が立ち寄った漫喫で、大学生風の女の子と出会った事。
そうして、24ターン制のスコットランドヤード・ゲームがはじまった。

面白かったわ。
さすが売れっ子脚本家の野島伸司。

話の柱は3人。
樽人と夏彦、そして漫喫の彼女・杏だ。
樽人は実直で優しく、実はアッツイ男。
直彦はクールでユーモアで、そしてイケメン男。
杏は素直な面や頑固な面を持つ、ちょっと世話がかかる女。
彼らはそれぞれの背景があり、またお互いに変化をもたらす。

注目したのは樽人と夏彦の会話。
何かある度反省会が開催されるのだが、その日の出来事を会話し、その会話から一つの事実に到着する。
その事実のスルドサになるほどなぁと思ってしまう。
ロマンティック、センチメンタルなど、ついつい納得してしまうことが多い。要チェックや。

その一方で、主人公の樽人の言動はたまにツッコミたくなる。
ちょっと、そんなにズバって言っちゃっていいの!?
だとか、どんだけアッツイんだよ!だとか。
それぐらい、まっすぐな部分があるのだが、それは小説を読んでつっこんでほしい。

最初の3人の関係がありがちな設定ということもあり、感情移入しやすい。
感情移入したところで、共感や驚きやメッセージを投げてくる。
言葉もところどころ残るものがあり、本を迷っているならおすすめできる物語!

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