まほろ駅前多田便利軒

「不幸だけど満足ってことはあっても、後悔しながら幸福だということはないと思う。」

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

著・三浦しをん

まほろ駅前に自社を構える多田便利軒。
客の変わりに見舞いにいく仕事や間引きを証明するために一日中バスを見張る仕事、はたまた犬の面倒を見る仕事など、、
自分でやれよというような、しかしだからこそ便利屋家業が成り立つのだが、そんな依頼が舞い込む多田便利軒の日々。
依頼をさばくのはもちろん社長兼従業員の多田。
日々奮闘する多田のもとに、高校時代の同級生・行天と偶然再会する。
多田は久しぶりに再会した旧友の変人ぶりを感じることになると同時に、多田自身の持つ暗い過去の片鱗が徐々に明らかになる。
行天という変人が加わり、2人体制になった多田便利軒の日々が少しずつ変わっていく。

便利屋だとか探偵だとかの物語って、いいよね。
それぞれの依頼人が持つ人生と交差していく感じが。
この物語にも、多くの依頼人が登場し、それぞれの人生と交差していく。
そして行天という変人と再会することにより、多田自身の人生が紐解かれていく。
それは彼の暗い歴史が明らかになっていくのだが、この物語の焦点はそこにあるのではなく、"再生"にある。

「だれかに必要とされるってことは、だれかの希望になるってことだ」

多田と行天、2人の掛け合いや、いつも依頼してくる山城町の岡さんを初めとした依頼者達。
東京の西にある、架空の街、まほろ市。
そこで起きる依頼と多田便利軒の日々が、本を開けば待っている。

第135回直木賞を受賞している本作。
直木賞受賞作品ってどんなもんだろって思ったけど、さすがにハズレなかった!

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