カフーを待ちわびて

日が沈むとすっかり寒くなってきた。そろそろこたつとみかんの季節かなぁ。
こたつ持ってないけど。
最近そんな事を考えていたら、つい先日友人からみかんを手に入れた。
あるとついつい食べてしまうみかんは、どんなにあっても困らない。
爪が黄色くなるまで食べてしまう。
暖かいものではないのだが、寒い時期、いくら食べても飽きないから不思議だ。
その実、自分でみかんを買うかと言うと買わないのだから、さらに不思議だ。

友人から手に入れたのはもう一つある。
おすすめだよ、という1つの小説を借りた。

"カフー アラシミソーリ"


著・原田マハ

本の帯には「第一回日本ラブストーリー大賞受賞作品」とある。
ここからして恋愛200%作品であることが分かってしまうというのと、純愛物語なんだろうな、と先入観をまず持つ。
"ラブストーリー"というカタカナ語で表現していることで、駆け引きのある恋愛や不倫などのどろどろ濃度の高い作品はないんだろうな、といった勝手なイメージも持ってしまう。
どちらかと言うとあまり情報が無い状態で読むことが好きなので、読む前に楽しみが少し減ってしまった感じだ。
・・・、などと言ったがいざ読み出したらまーすらすら読めてしまうストーリーだった。
結論を言えば、王道物語だけれども、だからこそ心地よいそよ風のような話だった。

物語の舞台は沖縄より西に行ったところに位置する離島、与那喜島。
そこで日用雑貨店を開いている主人公・明青と地元の仲間、そして明青の絵馬を見てやってきという幸という女性との、島での日常や変化を描いた物語だ。

沖縄方面が舞台って、ある意味反則だよね。その時点でもう暖かい。
作品の表現も演出も、その暖かさが伝わってきて、心地よい感覚すら覚える。
ストーリーはというと、明青と幸、そしておばあとのふれ合いに胸が暖かくなる。
しかし明青の同級生の一人に俊一という男がいるのだが、この男が物語に一石、いや二石ばかり投じる。
物語後半、同じく同級生の渡から悪ふざけをした俊一の、2石目の事実を明青に告げられるのだが、あれはつらいねぇ。
完全に打ちのめされる。
結局は友情深いのでそれによる流血事件なんてものは起きないのだが、俊一には要注意。
俊一が現れたら、いち、に、さん、と数えよう。

話が俊一に傾いてしまったけど、与那喜島で起きる楽しく暖かく、そして少し切なく、でも前向きな物語です。

さて、カフーを待ちわびながら、みかんでも食うか。
明日もカフー アラシミソーリ。

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