capote

「何を伝えたかったのか、思い出せない」




著名な小説家カポーティは、新聞の記事からカンザスで起きた一家虐殺事件を知る。
これをきっかけにして、彼は後の人生を大きく変えることとなる渦の中に呑まれていく。

カポーティの作品を一つも読んだことが無いし、「冷血」という小説ももちろん知らない。
ただ当時、世間で話題になっていたという理由で観賞しました。まったくもって恥知らず。

物語の結末を望む意識と、取材を通してペリーとの間で育まれた情愛から生まれる、友への罪悪感という2つの意識の狭間で苦しむカポーティ。
作家として、友人として。

「友人」と呼ぶのは正確ではないのかもしれない。

「幼少時代を共に過ごし、ペリーは裏口から家を出て、
                   私は表口から家を出た。」


劇中からこの言い回しにあるように、カポーティはペリーに近い何かを感じていたのだろう。
カポーティは社会適合者、いわば「表口」の人間で、ペリーは殺人を起こした社会不適合者、裏口の人間である。
しかし2人の内にあるものは非常に近いとカポーティは感じたのだろう。だからこそ情熱を注いだのだと思われる。

そんなカポーティの、作品に対する、そしてペリーに対する2つの気持ちが交差し、迫ってくる。
2つの狭間に位置するカポーティの心情を感じ取る事が出来る。
この映画を見れば、「冷血」の後に1つも作品を完成できなかったその背景を知ることが出来る。

今度図書館に行こう。

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