"海上図ヨリ之ヲ削除ス"
著・長谷川亮一
かつて地図の上にあった島々があった。
時に開拓の地として期待の島となり、時に海賊の財宝が眠る夢の島となり、時に国家による戦略の島となり、、
その島を思う者により価値を変えていく島。そうした島々が、地図上に現れては消えていったのは、それほど遠く昔の話ではない。
筆者が築き上げた検証の視点から、その歴史を振り返る。
(続きはタイトルをぽちり)
財宝の眠る島?それを巡る争いの果ての、忘れられた島々!?
まさか、某ゴム人間が海賊王を目指す、"世は正に大海賊時代!ドーン!" 系の話!?
いえ、違います。
地図から見る歴史のお話です。
ヨーロッパ発の大航海時代により開拓(植民)の拡大と資源獲得が激化した。
そして北太平洋での捕鯨による鯨油獲得のため、黒船に乗ったペリーがどんぶらこっこと来ては日本は開国する。
その後、世界情勢を知らなかった日本は、いままで周辺諸島はあまり気にしていなかったのだが、領土拡大の概念を教わり、「まじか!こうしちゃいられねー!」と島嶼開拓も気にする様になるのだ。
その内、領有権のルールができ、近年なって領海・排他的経済水域の国際法が確立するようになる。
本書は、そうした背景がある中において、日本近海の島々に焦点をあて、まぼろしの島々の"誕生"から"消滅"について語るのだが、これは完全に趣味の話である。
しかも数々の資料から検証して歴史軸に沿って語られるお話は、素晴らしくマニアック。
一つ一つ古い資料を読み解き検証し、その後の資料と照らし合わせ、また別の見聞録などの情報から相関関係を見出し、推し進めて行くその姿勢は、丁寧を通り越して愛情すら感じる。(言い過ぎ!?)
この真摯さが生み出した濃厚な趣味本は、その筋の人にはたまらないであろうし、無論のこと歴史の本としても価値の高さが窺い知れる。
この本で当時の人物が何人か紹介されているが、特にフォーカスされているのが、玉置半右衛門と水谷新六だ。
玉置半右衛門のバイタリティー溢れる開拓軌跡や、水谷新六のサバイバルストーリーなど、島嶼開拓に奔走した男達の物語も面白い。
しかし、当然新島開拓という光の裏には暗い陰がある。
資源をもとめ、特に当時の目玉であったアホウドリの羽毛を求めて乱獲がされたり、入植者達を鬼の様に酷使するなど、そうした舞台裏も書かれている。
特にあとがきで筆者は"探検のロマンと帝国主義的な欲望との差は紙一重にすぎない"と言っているように、旧大日本帝国の欲望が、そうした島の誕生と消滅の一端を担っていた、という箇所も触れる。
最後に、そして驚くべきことに、あとがきで著者は"幻想諸島航海記"なるものを紹介する。この本の前身となった、著者のWebページだそうだ。
えええええええ!!Webで見れるの!?
とずっこけたことは置いておいて、それを再編集、加筆してまとめあげたものになるようだ。
まとまりで見れば本に価値があるだろうけど、参考文献のリンク先が貼られているWebページは、(その筋の人達には)利用価値の高いページなのだろう。
気になる人はチェックしてみたらいかがでしょ。
著・長谷川亮一
かつて地図の上にあった島々があった。
時に開拓の地として期待の島となり、時に海賊の財宝が眠る夢の島となり、時に国家による戦略の島となり、、
その島を思う者により価値を変えていく島。そうした島々が、地図上に現れては消えていったのは、それほど遠く昔の話ではない。
筆者が築き上げた検証の視点から、その歴史を振り返る。
(続きはタイトルをぽちり)
財宝の眠る島?それを巡る争いの果ての、忘れられた島々!?
まさか、某ゴム人間が海賊王を目指す、"世は正に大海賊時代!ドーン!" 系の話!?
いえ、違います。
地図から見る歴史のお話です。
ヨーロッパ発の大航海時代により開拓(植民)の拡大と資源獲得が激化した。
そして北太平洋での捕鯨による鯨油獲得のため、黒船に乗ったペリーがどんぶらこっこと来ては日本は開国する。
その後、世界情勢を知らなかった日本は、いままで周辺諸島はあまり気にしていなかったのだが、領土拡大の概念を教わり、「まじか!こうしちゃいられねー!」と島嶼開拓も気にする様になるのだ。
その内、領有権のルールができ、近年なって領海・排他的経済水域の国際法が確立するようになる。
本書は、そうした背景がある中において、日本近海の島々に焦点をあて、まぼろしの島々の"誕生"から"消滅"について語るのだが、これは完全に趣味の話である。
しかも数々の資料から検証して歴史軸に沿って語られるお話は、素晴らしくマニアック。
一つ一つ古い資料を読み解き検証し、その後の資料と照らし合わせ、また別の見聞録などの情報から相関関係を見出し、推し進めて行くその姿勢は、丁寧を通り越して愛情すら感じる。(言い過ぎ!?)
この真摯さが生み出した濃厚な趣味本は、その筋の人にはたまらないであろうし、無論のこと歴史の本としても価値の高さが窺い知れる。
この本で当時の人物が何人か紹介されているが、特にフォーカスされているのが、玉置半右衛門と水谷新六だ。
玉置半右衛門のバイタリティー溢れる開拓軌跡や、水谷新六のサバイバルストーリーなど、島嶼開拓に奔走した男達の物語も面白い。
しかし、当然新島開拓という光の裏には暗い陰がある。
資源をもとめ、特に当時の目玉であったアホウドリの羽毛を求めて乱獲がされたり、入植者達を鬼の様に酷使するなど、そうした舞台裏も書かれている。
特にあとがきで筆者は"探検のロマンと帝国主義的な欲望との差は紙一重にすぎない"と言っているように、旧大日本帝国の欲望が、そうした島の誕生と消滅の一端を担っていた、という箇所も触れる。
最後に、そして驚くべきことに、あとがきで著者は"幻想諸島航海記"なるものを紹介する。この本の前身となった、著者のWebページだそうだ。
えええええええ!!Webで見れるの!?
とずっこけたことは置いておいて、それを再編集、加筆してまとめあげたものになるようだ。
まとまりで見れば本に価値があるだろうけど、参考文献のリンク先が貼られているWebページは、(その筋の人達には)利用価値の高いページなのだろう。
気になる人はチェックしてみたらいかがでしょ。
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