減速して生きる -ダウンシフターズ-

"古いシステムにぶら下がるのではなく、新しい答えを生きよう。"

減速して生きる―ダウンシフターズ

著・高坂勝

大手小売業で30歳まで働いていた彼は、ある日突然会社を辞めた。
そして、一年近く旅に出る。
国内、国外の旅を続けたある日、彼はある感覚に襲われる。
「もう頑張らなくていいんだ。」
そこから彼は、友人に頼み飲食の修行を始め、遂に自分の店を開店する。
店の名前は、「たまにはTSUKIでも眺めましょ」

なるほどなぁ!
高坂さんの歩んだ軌跡を振り返りながら、ふむふむと読んでしまう。
現状に対する疑問を持ち、根本原因を探った先に、自分がどう在りたいのか見つめ直すということ。
そして、日々積み重ねられた考えや、体験、そして得られた感覚から、システムから降り、湧いて来た答えの方向に進んで行く。
俺を含む多くの人は大なり小なり疑問や不安を抱えていて、形になるような、もしくは漠然とた想いを抱いているのだと思う。
そして彼もその内の一人だった。
でも彼は、色んな気付きや体験により、そこから解放され、実感と共に道を歩んでいくことになるし、今もまだその途中だ。
彼の持つ考えのうちの一つに、"循環"というキーワードがある。
それは食べ物であったり、飲み物であったり、お金であったり。
そういった、世の中を巡るモノの循環を、彼は大切にしている。
最近、水に関する本を読む事もあり、それが一つの気付きにもなっている俺にとっても、"循環"というのは大事なキーワードだと感じている今日この頃。( ちなみに水の本はこちらのこと )
この循環について、もっと学ばなければいけない。
その内の一つで紹介されていることに、農耕がある。
千葉県で放置されていた田んぼを、巡り会わせて偶然借りる事ができた彼は、半自給自足を始めるエピソードを紹介するのだが、"半農半X"や"ミニマム主義"などをはじめ、説得力があってなるほどなぁ、と思ってしまう。

システムを降りて彼が目指したもの。
それは単に、自分の店を始めることではないのだ。
「しょうがない」を止めて自分に正直に生きることだったり、一つ一つの物事に感謝と感動が芽生えるような心の変化があったり、人と人との繋がりに喜びを見たり、などなど。
かつては仕事にトップギアだった人々の一員であった彼が、ギアを、ダウンへシフトする人々、いわゆる"ダウンしフターズ"へと変わり、得たものとは。
この言葉も、読後はなるほどなぁ、と思ってしまう。

成功してるからそんなことが語れるんだ!
という声もあるかもしれないけど、こういう生き方だってできるんだぞ、と囁いてくれるような本であり、これも大きな"気付き"を与えてくれるような一冊だ!
勉強になります。

***追記***
そう。合理性。
目標をたてて、それを下回るなら改善する、それを上回るなら抑える。
"持続可能"を可能にする合理性。うんうん、これポイントだね。
そして何より彼が構築するソフトパワーと、自身の"魅力"が何よりの武器なんだろうな。
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