拝金

"突き抜ける、そうとうしか表現のしようがない。"

拝金

著・堀江貴文

北関東から上京した後、引っ越しを繰り返し行き着いた先のゲームセンターで毎日を過ごすフリーター、藤田優作。
ある日ゲームセンターに通称「オッサン」が現れた。
異質な雰囲気を漂わせるオッサンと、ある日優作はとある公園で会話する。
「鳩ボールって知ってる?」
オッサンからそう聞かれた事をきっかけに、優作は企業することになる。オッサンを表には秘密の、「チーフデザイナー」として。
これは一昔前に世間から脚光を浴びた"ライブドア"と"ホリエモン"の繁栄と失墜、そして再スタートを藤田優作を通して振り返る物語。


おい!ヒルズ族!凄いですね! いやぁ、いわゆるテレビで見る様なジャブジャブ生活あるんだねぇ。
ホリエモンが当時通過したのだろう体験を、本書内で藤田優作が体験する。
極上の食べ物、極上のお酒、極上の交遊、そして極上の金儲け。
資本主義の下に、アイディアと機とそして欲を武器に破竹の如く駆け上がる。
欲望。突き詰めれば人の原動力の大部分はこれだと思う。
俺も以前もんもんと考える事があったけど、今の俺が持ち合せている答えは、人は欲望から行為する、ということ。
そして本書ではこう語っている。
"欲望が金の価値を定める。そしてそれは人によってケース・バイ・ケースなんだ。本来、金はその欲望を満たすための手段でしかないんだよ。"
彼は、言うまでもなく頭が良いんだね。そして当然、努力して勉強を重ねているんだと思う!
そういう基礎があった上で、ブレイクスルーが湧いてきたり、物事のタイミングを逃さない能力があるのだと思う。
特に、欲を見抜くセンス!
本書でも紹介されている、球団買収、放送局買収に関わる騒動。
業界の構造と既得権を見破り攻撃を仕掛け、また民衆を見方につける技も同時にこなす。
そう、言い換えれば権力者達の欲望、世間の欲望を見定めることができるセンス。
資本主義という欲の海を自由に泳げるセンスがあるのだろう。
でもその後はライブドア事件という大きな波にさらわれた。(これだって欲の一部だろう!)

俺にはそんなセンスはないけれど、この海を泳いでいるのには変わりないのだから、必死にもがいて泳ぐのだ。
泳ぐことをやめてしまえば溺れてしまうし、ゆっくり泳いでいるとどんどん他の人に抜かされる。
でも泳ぐことをやめるのは悪いこと?ゆっくり泳ぐのはだめなこと?
脱線してしまうのでこれは別の機会に!

本書で出てくる杉作くんはいいやつだ。
海とはもっと別の次元で、近くに杉作くんのような人物がいるかいないかでだいぶ結果は変わるのでは!?と思う。
もし欲望に飲まれてしまったとしても。それでも全てを失ったあとでも隣に一緒にいてくれる仲間。
本書での杉作くんの存在は、心の拠り所となる "安心" を表している。
"変わらない"という安心感。
人は欲望からなる事象ではなく、その人の存在にこそ助けられるのかな。
いやまてよこれはホリエモンの心理誘導にひっかっかっているのでは、、ぶつぶつ、、
と言いつつも、本書での杉作くんの存在は貴重です。

当時起こった舞台裏の話やなるほどそうなのね目から鱗だわさ!という話もあって面白い。
突き抜ける感覚。行動原理となる欲から解き放たれて、一体となるような感覚。
それは想像できないけおさ!
けどその道を駆け抜けた事で分かる何かを彼は持っている。
その彼の足跡となる一冊。興味があればどうぞ!

本を読んだ後、マルクスの本を読もうかなという気になったりならなかったり。
資本論が平易に読める入門本みたいなのってないかしら。

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