"先進諸国では世俗化は依然として進行している。しかしそれは一面であり、他方では宗教の復興という新しい事態が起こっている。"
教養としての世界宗教事件史 (河出ブックス)
著・島田裕巳
筆者の選んだ宗教史における24の事件を振り返り、宗教の事柄を紹介する本。
きっと歴史で学んだこどだろうけども、記憶がすっかり彼方へいってしまった俺なんかにぴったりの本だろう。
直立二足歩行から9・11事件まで、宗教史において注目すべき事件を筆者が述べる内容になっている。
支配という概念の誕生が宗教発足に関わっていたり、ゾロアスター教の影響や、一元論、二元論をとるかの違いであったり、知らない事、もしくは忘れてしまった事が次々出てくる。
1から24まで、概略を書こうと思ったけど途中で疲れたので、いくつかピックアップしたものを以下に。
-壁画って凄い!
旧石器時代後期に属する洞窟壁画と比べ、中/新石器時代相当の岩壁壁画は、動物の家畜化を経て、脅威の対象であった動物を管理することで、立場の関連性が生じ、支配という概念を生み出す事になったのではないか、という点から、著者は次の様に語っている。
"人間は、まず火を飼いならし、次に野生の動物を家畜として飼いならした。さらに次の段階としては(中略)農耕の発生である。(中略)この飼いならしの家庭の中で、人は支配という観念を知り、そこから神の存在を知り、宗教を生み出して行った"
考古学資料というのは、人間の進化だけではなく、宗教の側面も読み取る事ができるのか!という話だったり。
-キリスト教と仏教はちょっと似てる?
キリスト教、特にカトリックは俗世界の価値を否定して出家という行為に価値が与えられてるけど、仏教でもそれは同じ。
逆にユダヤ教やイスラム教は聖職者と呼ばれる宗教的な指導者は、家族生活を営む俗人であり、偶像崇拝禁止という部分も共通している。
(ちなみに神道も偶像崇拝禁止)
キリスト教と仏教は、他の宗教と比べて異質な部分を持っていて、これって重要なんだぜ、って話だったり。
-三蔵法師は日本の仏教に影響を与えていた
インドの仏教は中国で中国化されて日本に来た一方で、膨大な仏典から様々な宗派が生み出され、インドからはじまって中国、朝鮮、チベット、日本などの仏教者達の跡が示され、巨大な教えの宇宙となっているそうで(!)、仏典が作り上げた宇宙の広がりの中で、どのような思索を展開し実践を繰り広げるかという点で、仏教の自由さがあり、他の宗教にない性質だとか。
そしてこの仏典に大きく寄与したのが三蔵法師=玄奘で、彼から遣唐使で道昭が直接学び、その弟子が東大寺の大仏建立に関わった行基なんだって、というお話とか。
-キリスト教文明とイスラム教文明の対立、、!
聖地エルサレムの歴史において、キリスト教文明の立場からすれば、十字軍は聖地を奪回する宗教的な使命を帯びた神聖な試みと解釈され、戦争を正当化する役割を果たすけど、イスラム教文明の立場からは自分達を侵略する邪悪な勢力による忌まわしい戦争で、侵略から守るための聖戦としてのジハード、という全く逆の意味で解釈されるのだ、というお話であったり。
-マルティン・ルターの宗教改革→これって資本主義の発生?
免罪符の売り出しを発端に教会に異を発したルターの主張からプロテスタントの独立が生まれたけど、そのプロテスタントは出家した聖職者という制度はなく、教皇のような全体権威も聖なる/俗なる世界の分離もない。
そして世俗への禁欲主義を改め、社会生活のあり方を変えたんだぜ、というお話だったり。
(特にプロテスタンが広まった地域とカトリックにとどまった地域の労働に対する考え方が違うという指摘が面白かったり。)
-アメリカ建国と宗教について
イギリス国教会の迫害を受けて、国教会からの分離を目指すキリスト教とその他の人間がイギリスはプリマスをメイフラワー号で出航し、新大陸アメリカに上陸して、そこから歴史がはじまる。
神話を持たないアメリカは、歴史を神話化する操作を行いながらも、同時に多種多様な移民と宗教が移動してきて、"リバイバル"(信仰の覚醒運動)を幾度も経験し、新宗教が誕生したんだぜ、という話だっり。
-イスラム革命が世界を変えた?
イランを支配して来たパフラヴィー朝の国王が民衆のデモにより逃亡し、イスラム教の法学者であるアヤトラ・ホイメニーが15年の歳月を待ち帰国し、国造りが勧められた。
ここで、本書でも紹介されているのだが、チンギス・ハーンによるモンゴル帝国の世界征服に伴う宗教上の問題として、原理主義を主張するイブン・タイミーヤが歴史上に存在するのだが、タイミーヤについては本書で読んでもらうとして、ホイメニーのイスラム原理主義の思想はずっと生きており、もちろんホイメニーもその影響を受けているだろうと思われる。
このホイメニーが中心とした国造りがイスラム原理主義の気運が高まり、そしてタイミーヤの考えを現代に甦らせたのがサイイド・クトゥブであり、この思想が反政府闘争やテロリズムを正当化する論理として用いられるようになった、というお話であったり。
(その先はご存知の通り9・11事件。)
他にも、インドで仏教消滅!だとか、聖母マリア出現、え、なにそれほんと?とか、ダライ・ラマの話だとか、その他諸々。
宗教なんて普段意識しない俺だけど、ニュースを始め色んなメディアで目にするし、海外へ旅行した時にその世界に触れる事だってある。
だからちょっとは知っていたい。でもなに読めばいいのか分からない。
というところで、偶然図書館の新刊本棚で見つけた本書。
宗教のなんたるか、だなんて深すぎてきっと分からないだろうけど、歴史上あった事件という観点から、ぱらぱらと読む事が出来る。
もちろん本書を読んで分かる事なんて限られているし、色んな言葉が出てくるので分からない部分もあるけど、平易に書かれており、各章ごとに著者がうまいこと(?)まとめてくれるので、3割ぐらいは(少ない!) 読み取る事が出来る。
しかし仏教、儒教、道教、etc ,,, 漢字ばかりで 「うっ」となってしまう。
キリスト教、イスラム教 の方が言葉としては目に入りはすい。 本来前者を知っているべきなのになぁ。。。
日本宗教版もあるようなので、図書館で発見したらそっちも読んでみようかな。
教養としての世界宗教事件史 (河出ブックス)
著・島田裕巳
筆者の選んだ宗教史における24の事件を振り返り、宗教の事柄を紹介する本。
きっと歴史で学んだこどだろうけども、記憶がすっかり彼方へいってしまった俺なんかにぴったりの本だろう。
直立二足歩行から9・11事件まで、宗教史において注目すべき事件を筆者が述べる内容になっている。
支配という概念の誕生が宗教発足に関わっていたり、ゾロアスター教の影響や、一元論、二元論をとるかの違いであったり、知らない事、もしくは忘れてしまった事が次々出てくる。
1から24まで、概略を書こうと思ったけど途中で疲れたので、いくつかピックアップしたものを以下に。
-壁画って凄い!
旧石器時代後期に属する洞窟壁画と比べ、中/新石器時代相当の岩壁壁画は、動物の家畜化を経て、脅威の対象であった動物を管理することで、立場の関連性が生じ、支配という概念を生み出す事になったのではないか、という点から、著者は次の様に語っている。
"人間は、まず火を飼いならし、次に野生の動物を家畜として飼いならした。さらに次の段階としては(中略)農耕の発生である。(中略)この飼いならしの家庭の中で、人は支配という観念を知り、そこから神の存在を知り、宗教を生み出して行った"
考古学資料というのは、人間の進化だけではなく、宗教の側面も読み取る事ができるのか!という話だったり。
-キリスト教と仏教はちょっと似てる?
キリスト教、特にカトリックは俗世界の価値を否定して出家という行為に価値が与えられてるけど、仏教でもそれは同じ。
逆にユダヤ教やイスラム教は聖職者と呼ばれる宗教的な指導者は、家族生活を営む俗人であり、偶像崇拝禁止という部分も共通している。
(ちなみに神道も偶像崇拝禁止)
キリスト教と仏教は、他の宗教と比べて異質な部分を持っていて、これって重要なんだぜ、って話だったり。
-三蔵法師は日本の仏教に影響を与えていた
インドの仏教は中国で中国化されて日本に来た一方で、膨大な仏典から様々な宗派が生み出され、インドからはじまって中国、朝鮮、チベット、日本などの仏教者達の跡が示され、巨大な教えの宇宙となっているそうで(!)、仏典が作り上げた宇宙の広がりの中で、どのような思索を展開し実践を繰り広げるかという点で、仏教の自由さがあり、他の宗教にない性質だとか。
そしてこの仏典に大きく寄与したのが三蔵法師=玄奘で、彼から遣唐使で道昭が直接学び、その弟子が東大寺の大仏建立に関わった行基なんだって、というお話とか。
-キリスト教文明とイスラム教文明の対立、、!
聖地エルサレムの歴史において、キリスト教文明の立場からすれば、十字軍は聖地を奪回する宗教的な使命を帯びた神聖な試みと解釈され、戦争を正当化する役割を果たすけど、イスラム教文明の立場からは自分達を侵略する邪悪な勢力による忌まわしい戦争で、侵略から守るための聖戦としてのジハード、という全く逆の意味で解釈されるのだ、というお話であったり。
-マルティン・ルターの宗教改革→これって資本主義の発生?
免罪符の売り出しを発端に教会に異を発したルターの主張からプロテスタントの独立が生まれたけど、そのプロテスタントは出家した聖職者という制度はなく、教皇のような全体権威も聖なる/俗なる世界の分離もない。
そして世俗への禁欲主義を改め、社会生活のあり方を変えたんだぜ、というお話だったり。
(特にプロテスタンが広まった地域とカトリックにとどまった地域の労働に対する考え方が違うという指摘が面白かったり。)
-アメリカ建国と宗教について
イギリス国教会の迫害を受けて、国教会からの分離を目指すキリスト教とその他の人間がイギリスはプリマスをメイフラワー号で出航し、新大陸アメリカに上陸して、そこから歴史がはじまる。
神話を持たないアメリカは、歴史を神話化する操作を行いながらも、同時に多種多様な移民と宗教が移動してきて、"リバイバル"(信仰の覚醒運動)を幾度も経験し、新宗教が誕生したんだぜ、という話だっり。
-イスラム革命が世界を変えた?
イランを支配して来たパフラヴィー朝の国王が民衆のデモにより逃亡し、イスラム教の法学者であるアヤトラ・ホイメニーが15年の歳月を待ち帰国し、国造りが勧められた。
ここで、本書でも紹介されているのだが、チンギス・ハーンによるモンゴル帝国の世界征服に伴う宗教上の問題として、原理主義を主張するイブン・タイミーヤが歴史上に存在するのだが、タイミーヤについては本書で読んでもらうとして、ホイメニーのイスラム原理主義の思想はずっと生きており、もちろんホイメニーもその影響を受けているだろうと思われる。
このホイメニーが中心とした国造りがイスラム原理主義の気運が高まり、そしてタイミーヤの考えを現代に甦らせたのがサイイド・クトゥブであり、この思想が反政府闘争やテロリズムを正当化する論理として用いられるようになった、というお話であったり。
(その先はご存知の通り9・11事件。)
他にも、インドで仏教消滅!だとか、聖母マリア出現、え、なにそれほんと?とか、ダライ・ラマの話だとか、その他諸々。
宗教なんて普段意識しない俺だけど、ニュースを始め色んなメディアで目にするし、海外へ旅行した時にその世界に触れる事だってある。
だからちょっとは知っていたい。でもなに読めばいいのか分からない。
というところで、偶然図書館の新刊本棚で見つけた本書。
宗教のなんたるか、だなんて深すぎてきっと分からないだろうけど、歴史上あった事件という観点から、ぱらぱらと読む事が出来る。
もちろん本書を読んで分かる事なんて限られているし、色んな言葉が出てくるので分からない部分もあるけど、平易に書かれており、各章ごとに著者がうまいこと(?)まとめてくれるので、3割ぐらいは(少ない!) 読み取る事が出来る。
しかし仏教、儒教、道教、etc ,,, 漢字ばかりで 「うっ」となってしまう。
キリスト教、イスラム教 の方が言葉としては目に入りはすい。 本来前者を知っているべきなのになぁ。。。
日本宗教版もあるようなので、図書館で発見したらそっちも読んでみようかな。
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