恋文の技術

"紳士淑女よ、意味も無く、手紙を書け!"

大学の修士課程を学ぶ守田一郎。
ある日彼はクラゲの研究をするため、京都を離れ能登にある研究所に配属される。
マンドリンをかき鳴らし、自作である謎の栄養ドリンクを飲み無意味に精力を増強させることに勤しむ、谷口さん。
別名、鬼軍曹の名を持つ彼のしごきをうけながら、守田一郎はクラゲの研究と自宅アパートとの往復を繰り返す日々を送る。
一方彼は、関係各位に文通を書き始める。
いかなる情勢をも手紙一本で籠絡できる技術を身につけ、世界を征服するために。。

著者・森見登美彦

毎度お馴染み森見さん
本作でもその森見ワールドが遺憾なく発揮されている。
「手紙のやり取り」という形で、守田一郎から発信される手紙とその時系列だけをおって、物語はすすむ。
新たな切り口ですすむ物語。そしてその中核を成すのが、、、おっぱいである。
守田の友人小松崎君との手紙でやり取りされる8割はおっぱりであり、守田が小松崎君のおっぱい依存性を見抜き、助言し、挙げ句おっぱいに支配される。
行き着いた先は「方法的おっぱい懐疑」。この方法を用いる事で一悶着が起きてしまうのはいうまでもない。
おっぱいだけではない。大塚女王との不毛なバトルも勃発する。
長年大塚女王にそのイニシアチブを握りに握られ握りつぶされてきた守田が報いる一矢を発端に、繰り広げらる不毛バトル。
いかに大塚氏が女王として君臨するかを見るのも面白い。

守田とその周りにいる6人と交わされる文通。
それぞれのキャラクターがいて、それを守田発の手紙のみで表現してくれることに魅せられる。
そして相変わらず主人公の人間味が良い。ダメな方に良い。

おすすめ度:80点

文通の手腕を磨きたいそこのアナタ。
騙されたと思って、読んで見ては如何? きっと騙されるから。

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