煙か土か食い物

""俺は今、それをようやく確信している"

煙か土か食い物 (講談社文庫)

著・舞城王太郎

物語はアメリカ、サンディエゴの総合病院から始まる。
ERで外科医として働く奈津川四郎。頭がキレて、腕もよく、おまけに女に困らない。
そんな四郎に突如舞い込んだ、母親が入院した事実。彼は久しぶりの休みをとり、地元福井に帰る。
福井に帰った四郎は、母親が入院した原因となる事件を発端に、彼の父親、兄弟、そして過去と再会することになる。

新しいタイプの小説発見。ディスイズソウクレイジー。
型破りな四郎の主観で突き進む物語。そして更に型破りな四郎の家族。ゼイアーサイコファミリー。
四郎は末っ子。ご想像通り一郎、二郎、三郎が兄弟。
まず兄弟がどれも型破り。共通していることは、全員がファイター。あるいはデビル。
デビルは福井県を制圧する。そしてその父親丸雄ももちろんデビル。
家での喧嘩は日常茶飯事。デビルvsデビル。
でもそれは昔の話。
物語はいま起きている事件を軸に進んでいく。しかし、それもまたサイコな事件なのだ。

刺激的で暴力的でいてシャープ。あと、少しの愛を感じる物語。
そして、作者は半分ノリで書いているだろうと思われる表現。
四郎のシャープさが合い混じって、ぽんぽん読んでいける。イッツグルービー。

四郎の言動をいくつか。
"チャッチャッチャ一丁上がり"
"俺の伝説のワンツーを打ち込むことを咄嗟にこらえる。"
"なぜなら俺は医療の神"


おもしろいよ。

コメント